三十代の潜水生活

適当に書きます

2021.6.28〜7.2

日曜夜に全く寝付けずひどい状態で月曜を過ごす。読み込んでいたつもりの書類も上司と会話して初めて理解する事があり認識の共有は大事だねと思う。久しぶりに急に振られた業務で自分の無能さを目の当たりにする。雨の電車通勤は憂鬱になる。7月はツイート数を減らそうと思うが初日から失敗する。また持病のコンテンツへの向き合い方や熱の入れ方について悩み始める。

トーマス・メレ "背後の世界"を読む。作家・劇作家であり双極性障害を患う著者の私小説的な内容。夥しい引用と躁転時のイメージの奔流の緻密な描写が凄まじく、加えて実生活の破綻やそれを現在の視点から眺めた心境も生々しく描かれているのでガンガン読めつつもやや気が滅入ったりする。でも作品を生み出せるのが薬で感情を抑制させているフラットな状態の時というのは希望を感じる。作中救いとして何度も出てくるナインインチネイルズを聴きたくなった。

2021.6.26〜27

土曜はPS5を探して錦糸町秋葉原のヨドバシを巡るが見つからず。中原中也 "中原中也詩集"、宮内悠介 "ヨハネスブルグの天使たち"、山本さほ "この町ではひとり"、鈴木志保 "パレードはどこへ行くの?"、リアド・サトゥフ "未来のアラブ人"、ママスタジヲ "アンダーグラウンド" "スピード"等を買う。何か怠いので帰る。諸々にアクティブな姿勢を心がけがちだったので反動で疲れを感じる。飲酒。

日曜は怠い状態のまま起床し、漫然と過ごして終わる。競馬をやる。

山本さほ "この町ではひとり"を読む。冷たさが際立つバイト先の人間関係の描写を目の当たりにし、自分の現状と比較して冷や水を浴びせられたような気持ちになる。思ったよりも読後感は悪くなかった。

"銀河ヒッチハイク・ガイド"を観る。面白〜…観たいと思いつつDVDを借りて返す行為を何度も繰り返しておりようやく再生したが思っていたよりもオフビートでなく終始馬鹿馬鹿しさに貫かれており笑った。悪い意味でのチープさや寒々しさがなく上手い具合にセンスが作用しているのも良かった。監督はblurのMVも手がけたりしているようで笑顔になる。

"レディ・バード"を観る。"フランシス・ハ"の主演女優による監督作という事で何となく自立していく1人の女性を扱った映画かなと思うも、実質はそうなのだが10代で背伸びをしたい盛りの主人公の格好をつけきれないダサさと痛々しさが響く。こういう10代を描いた作品を観ると過ごせなかった青春への感傷より先に人間はこうやって人間関係や学校教育から重要な事を学んでいくのか…というシステム面に想いを馳せるようになってしまった。

megyushi…

サイケ志向のシューゲイザーという印象が強かったが堂に入ったようにすら思える60年代趣味が展開されたギターロックでめちゃくちゃ良かった

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秋葉原

2021.6.21〜25

AmazonプライムデーでFire HD 8を買う。元々絵を描く時に資料を見るためのモニターがもう一つ欲しいと思っていたのでそれ用で。あまりガジェットを買った経験が無いので割と楽しい。ピロウズの再現ライブのチケットが取れておらず、先日作ったクレカで抽選に申し込む。大量の電気代督促ハガキを消化して達成感を得る。特に忙しくないのに疲れ切る日が多く、虚しさを感じるとともに要因としてやっぱり人間関係の中に置かれる事や自分の一般常識との乖離に対して必要以上に神経をすり減らしてしまうのもあるんじゃないかと思う。ラブライブサンシャイン11話に良いね〜と思うと同時に本心を隠すキャラクターに自己投影してる部分もあるのではと感じ気持ち悪くなる。初めて体重が60キロを越える。近所の本屋でセールになっていた "丸山眞男 没後10年、民主主義の〈神話〉を超えて"を買う。近所のベトナム人が警察を呼ばれており引っ越したい度合いが高まるがまだ諸々の準備の怠さには負けている状態。

加藤典洋 "耳をふさいで、音楽を聴く" を読む。奥田民生からスガシカオじゃがたらフィッシュマンズ等日本のポップミュージックを論じた本で、フィッシュマンズの記述を読みたくて手に取る。文芸評論家としての観点によるため音楽的な知識や分脈はほぼ介さず聴いた曲の感触と歌詞、書籍やネットからの情報等からの分析が主。こういう類の本は大抵ミュージシャンの物語性に寄りかかりすぎたり定義が曖昧なワードを駆使した独りよがりな文章になってそうという先入観があり、確かに"歌謡曲感"に対する嫌悪の記述などうーんと思う表現はあったが、全体としては語る言葉と音楽性の乖離は無く逆に腑に落ちながら読み進められる部分が多かった。J-POP的ないわゆる売れ線曲と趣味寄りの脱力気味な曲を書き分けていた初期奥田民生が歳を経るにつれて楽曲の構造自体が日本の典型的なポップミュージックから外れていき両者の区別がなくなっていった事や、フィッシュマンズについて後期〜最期の変化についてドラッグを起点にしていると仮定しても佐藤伸治が"何もしない事を意思として歌う"というそもそも困難な方針を突き詰めていった事を含めた周辺のあらゆる要素を加味したものだったのではないかという記述、じゃがたら江戸アケミの持つ社会的アジテーション〜フォーク嗜好に一つ下世代のメンバーの志向するファンク等の音楽性が融合して特異なものになり得ていたという部分(この辺は引用されているじゃがたらの書籍を読んだ方が良いかもしれないと思う)等が面白かった。

2021.6.19〜20

土曜は病院。平井の古本屋で杉浦茂 "猿飛佐助"、笹井宏之 "えーえんとくちから"を買う。夜は同僚と電話。飲酒して寝る。

日曜は昼寝したりして漫然と過ごす。クレカを作る。近所の老夫婦がやっている古本屋でハートフルなコミュニケーションを取りながら大昔の書籍を買う。

2021.6.14〜18

月曜は休んだので部屋を掃除する。久しぶりにフルメタルジャケットを観て映画鑑賞への気力が戻る。火曜は出勤するが一瞬の体調不良での休み明けに顔を出すのは緊張感と羞恥心が伴った。ツイの方とサーモンランをやり大変楽しかった。ラブライブサンシャインを観進め、シリアスな3年生組の10話から11話のスムーズにトンチキ時空へ移行する様にビビる。でも"未熟DREAMER"はいい曲だね…

雄大 "やわらかな言葉と体のレッスン"を読む。言葉や概念は世界を捉えるためのものであり理解にも限界がある事、言葉だけでなく話す時の身振りや表情を含めた総体からコミュニケーションを捉える事、社会によって構築されたルールで物事を考えたり目標を定めるのではなく自分の根底の気持ちを確認する事等が印象深い。コミュニケーションを身体的に捉える部分は高石宏輔の"あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知"に繋がる部分もあると思った。文体が平易なので諸々見過ごしてしまっていそうな気もするため再読したいがこういう事を言ってる時は大体読まないと思う。

円谷才一 "思考のレッスン"を読む。思考の際に自分のホームグラウンドとなるような事柄を持ち、対象にぶつける事で論文を作るという話が一番印象に残った。

2021.6.12〜13

土曜は新八柱の古本屋へ行きイヴ・クラインの展示会のポスターとスティーヴン・デイリー/ナサニエル・ワイス "オルタ・カルチャー"を買う。よく寝たので気分が良いが帰宅後にまた眠くなる。ビールをよく飲むようになった。近所の川を散歩してバイブスを上げる。抽選以外でPS5を買うための方法を教えてもらう。飲酒して遅くに寝る。

日曜はコンディションが悪い。近場のブックオフを適当に回り、PANICSMILE "GRASSHOPPERS SUN"、the pillows "Please Mr. Lostman"(初回盤)、小林建樹 "SHADOW"、島尾敏雄 "死の棘"、円谷才一 "思考のレッスン"を買う。寝る前に何となく熱っぽさを感じ検温したら37度でビビり散らかしてしまい発汗しながら寝る。

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2021.6.7〜11

加齢のせいなのか6時間以下の睡眠で日中のコンディションが悪くなる体質になった。近所のベトナム人が何かを燃やしたせいでアパートの火災報知器が作動して終わったり退勤の時に線路へ侵入した老人のせいで埼玉の電車が終わったりした。

山田風太郎 "人間臨終図巻" 中・下を読む。上巻だけ図書館に置いておらず、本当は若くしての熾烈な死に様を拝みたかったという下世話な欲もあったが、病気に蝕まれて以前の溌剌とした姿を失っていく描写の方がエゲツなく感じるようになった。人物像について筆者特有の見方が挟まれるのもアクセントになっていて良い。

別冊ele-king "永遠のフィッシュマンズ"を読む。30周年記念本という特性上そうなるのだろうとは思うが当時のバンドの神々しさや世田谷三部作に強くフォーカスしておりややついていけない部分があった(誤植もやたら多い)。ただZAKのインタビューや当時のフィッシュマンズがヒップホップに影響を受けていた話とかは印象深かった。当時の思い出に真摯に向き合う朝倉加葉子の寄稿とフラットな温度を保つcero高木の寄稿が良かった。

角居勝彦 "競馬感性の法則"を読む。ウオッカらを輩出した調教師による本で、調教にあたっての馬の心情への配慮(自信を持たせる・向き不向きを自覚させる等)のような馬を育てる側の視点が新鮮で良い。競馬では経済動物という側面に対して未だに思うものがあるのでその辺を掘り下げたいと思った。

小野耕世 "アメリカン・コミックス大全"を読む。1900年代初頭の源流となる作品から新聞連載、スタン・リーとマーベル/DC、スピーゲルマンからエイドリアン・トミネといったオルタナ寄り作品やグラフィックノベルまでを貴重なインタビュー等を絡めて俯瞰していく本。後書きにあるようにアメリカンコミックスの全てを網羅している訳ではないが大きな流れは確認できるし、出版時期の都合上9.11に伴い生じたスーパーヒーローの限界などの記述が生々しく感じられ印象深かった。"キャルヴィンとホッブス" "善かれ悪しかれ"が気になる。ハービー・ピーカーのインタビューがあったのが嬉しい。

山形浩生 "新教養主義宣言"を読む。プロローグの"いろんな生活上・仕事上・あるいは単純な興味上でみんなが関心を持っている話題がブチブチとした形であちこちに散らばっている。それをうじゃうじゃとつなげていくこと。(中略)いま仕事でいっしょうけんめい計算しようとしている製薬業界の割引率を考えることと、人の失恋の悩みとに実は関係があるんだということを、ぼくは示してみせよう。〜植民地主義と鉄道の歴史と、さらには銀行の不良債権問題が、フレンチのコーヒーがまずいことと密接に結びついていることを示そう。"に胸を強く踊らされる。書籍としては著者の寄稿をまとめたものという性質ゆえアクロバティックな跳躍や異質なもの同士を繋ぎ合わせるグルーヴははっきり示されていないが、傲慢な口調の裏に熱を感じたのと20年以上前の本だがそこまで古びた印象が無いのが良かった。読みやすい本はすぐ忘れてしまうので再読したい。

LITTLE THUNDER "SISTERHOOD LITTLE THUNDER ART BOOK"を読む。アイデアの海外マンガ特集号で取り上げられていたのをきっかけに買ったけど良かった…繊細かつ生々しかったかと思えばコミカルだったりと振り幅が広い絵柄に惹かれた。短編漫画の情緒も豊かで、とにかく"絵を描いている人"という印象を受ける。

騒々しくて通勤時に聴くと元気が出る