三十代の潜水生活

適当に書きます

2021.8.22

・ワクチンを打った。副反応にとにかくビビり倒していたが腕の痛み程度で終わりそうなので安心した。

フジロックの配信をぼちぼち観る。コロナ絡みで思う所はありつつも前にも増してアグレッシブになっていたサニーデイサービスとナンバーガールの新曲に笑顔になる。エレキングの特集本を読んでいたからだと思うけど恥ずかしい話ceroのライブにはフィッシュマンズを重ねてしまっていた。3日目の電気グルーヴはライブ自体も本当に良かったし演ると思っていなかった"レアクティオーン"ではいろいろ感じるものがあった。

・アポストロス・ドクシアディス/クリストス・パパディミトリウ "ロジ・コミックス"を読んだ。

バートランド・ラッセルと彼を取り巻く人物達を通し論理学をテーマにしたコミック執筆に奔走する筆者らとラッセル本人が行う自身の半生を振り返る講演を交差させながらその歴史を紐解こうとする構成のグラフィックノベル。論理学を巡る専門的な部分は理解が難しいところもありつつ、大筋はかなり分かりやすく描かれており好奇心を刺激された。ウィトゲンシュタインら同時代の哲学者たちのキャラデザも程良くキュートで良い。論理学は大学の頃に受講してたがほぼ授業に出ず単位を落としたのでもっとちゃんと勉強しておけば…と後悔したが、こういう後悔が逆にモチベーションになり続けて今に繋がっている部分もあるんだろうと思った(それはそれで虚しい生き方だとは思うが…)

 

ブレイディみかこ "僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー"を読んだ。

氏の息子の学校生活を主軸にイギリスの人種差別や労働問題等の社会的事象をあくまでも実生活に根ざしユーモアと慈愛を持って描くエッセイ。イギリスに根深く残る諸問題に辟易しつつ、スポンジのようにあらゆる価値観を吸収していく氏の息子の描写には子供離れした冷静さと時おり道徳の主人公かと思ってしまうくらいの正しさと感じてしまうが、あらゆる視点を垣間見る経験のできる書籍という感じで良かった。

 

・"好きにならずにいられない"を観た。

悪名高い日本版の宣伝広告しか知らなかったが書き込まれた内容はほぼ事実であり、40過ぎで実家住み、趣味は模型と玩具の童貞中年が親に行かされたダンス教室で出会った女性を巡るラブストーリー。この主題ならはちゃめちゃなコメディでも、または同じく悪名高い邦題の"ナポレオン・ダイナマイト"みたいなポップな作品にもなり得そうな気がするが、実際は全編を貫く燻んだ空気感と主人公の所在なさげな表情が印象に残る静かで暗い作品。ラストは賛否分かれてるが自分は肯定的に感じた。外に出て新しいものを掴んでいく過程には否応なく自分を重ねてしまう。ガラスを割って家に侵入するくだりで、関係性が恋愛に至るには何かしらの能動的なブレークスルーが必要なんだな…と思った。また、現代の社会基準に照らし合わせると明らかにアウトな主人公について、それならばセーフである事の意味って一体何なのだろう、セーフであれば幸せと見做して良いのか、それに価値はあるのか…みたいな事をまあまあ考えてしまった。